名称
MY観光ホテル
所在地
***
探索日
2005/05/05
廃墟開始日
1994年
分類・規模
宿泊施設 中規模(3階建て)
撮影
TEL
写真コメント
pcfx


山の中腹に取り残された、日本屈指の美麗廃墟。



高級ホテルとしては不運な歴史を刻んだ。昭和ヒトケタ建造、まもなく戦争で営業中止。



戦後営業は再開されたものの、あまり訪れる者もいなくなっていた。



ホテル以外の用途に転用されたものの、まもなく閉鎖された。



ホテルカウンターとして使用された年月は長い昭和史のほんの一部。



瀟洒な建築は多くの人の目に触れる機会はなく幕を閉じた。



皮肉なことに注目されるようになったのは閉鎖後。



もう殆どの内装は残っていないが、わずかに残った留守番が語りかけてくる。



アールヌーボー様式で統一されたが、その後持ち込まれたものが混じる。



丸窓はロマン主義。光は漏れ出す物という概念。



後期の転用時には使われなくなっていた厨房。



この二人はここでも百年戦争を続けている。



脱出しそこねたブレーカーは、まだ建物と臍の緒が繋がったまま。



随所に曲線構造が残り、優美さを偲ばせる.



スタンドバーで酔いしれた昔。デンキブランとニッカの王国。



静かな空間で窓の外を見ると、日だまりの中だけの時間があることに気が付く。



浴室の窓も半円。



浴槽も半円。曲面が空間把握を鈍らせ、心地よい混乱で落ち着かせる。



おまけ


外部にMY花壇という一角がある。



庭園のような作りだったのか。



今はもう何も当時を透かし見る手掛かりはない。



ここにだけ残る空気を満足するだけ吸ったら、帰る事にします。



物件の感想 by TEL

西日本の有名な物件であり廃墟写真集にも登場し、多くのマニアの憧れと羨望を受け
る廃墟です。

かくいう自分も「いつかは行ってみたい」と思った一人でありました。

「軍艦ホテル」の異名よろしく、山の中腹の緑の海に浮かんでいる様が山頂より見下ろ
せます。

地震や台風の影響で煙突などの外観が変貌していく中、人的荒廃により多くの調度品
が失われていくのが惜しまれます。